瓦は無機質材料できているため、本来であれば半永久的に使用することが可能です。そのた瓦の屋根材を使用している人のなかには、塗装の必要性を感じていない人も多いかもしれません。しかし、実は瓦の種類によっては塗装が必要になるケースがあることをご存知でしょうか。
今回は、屋根瓦の塗装について解説します。ご自宅の瓦を塗装すべきなのか、判断に困っている人はぜひ参考にしてみてください。
住宅に使用される瓦は基本的に2種類に分類でき、それぞれで塗装の必要性が異なります。まずは、瓦の種類の知識を身につけいていきましょう。
粘土系の瓦は、別名「日本瓦」「和瓦」とも呼ばれる日本家屋に使用されることが多い種類の瓦です。一口に粘土系と言っても、「いぶし瓦」や「陶器瓦」などの種類に分類できます。粘土を瓦の形に成形して焼き上げるため、非常に重量がある点が特徴的な瓦です。
陶器のように耐久性が高く、基本的にメンテナンスは不要です。そのため、塗装をする必要もありません。
ただし、欠損の補修や美観性を高めるために塗装することは可能です。塗膜が剥がれやすい性質を持っているため、塗装のときは専用の塗料を使いましょう。
セメント系の瓦には、「セメント瓦」や「モニエル瓦」などといった種類が存在しています。粘土を焼き上げて作ったものではなく、セメントや砂を混ぜて化学反応させることで作られます。粘土とは違い、モルタルと同じように雨水や湿気を吸着してしまう性質を持っているため、塗膜を形成して保護する必要がある点が特徴です。
ちなみに、瓦の下の縁(小口)がなめらかに仕上がっているものはセメント瓦、凸凹しているものがモニエル瓦に分類されます。両者では塗装方法が大きく異なるため、塗装の際はしっかりと区別してくれる業者を選ぶようにしましょう。
セメント系の瓦には塗装が不可欠ですが、たとえ粘土系の瓦であっても塗装をするメリットは豊富に存在しています。
ここからは、瓦を塗装してメンテナンスをするメリットについて3つ紹介します。
瓦の塗装をする最大のメリットは、メンテナンス代を安く抑えられる点です。
一般的に瓦は経年劣化しないと言われていますが、どうしても色あせなどの劣化症状が出てしまうことは避けられません。色あせを放っておくと家全体が古ぼけた印象になってしまうため、見た目を改善するためにはメンテナンスする必要があります。
ちなみに、瓦のメンテナンスには「葺き替え」と「塗装」の2種類があります。瓦の葺き替えを行う場合、一般的な30坪の一戸建てで100~120万円程度の費用がかかると言われています。瓦の塗装は高くても50万円以下に抑えられるため、安く屋根のメンテナンスをしたいときは塗装が最適でしょう。
瓦は経年劣化しにくい反面、ちょっとした衝撃でヒビが入ったり欠損してしまったりする屋根材です。もしも瓦にヒビ割れや小さな欠損が生じている場合は、塗装で補修することで、雨漏りなどのトラブルを防止する効果が期待できます。
瓦に細かいヒビ割れなどが入っていても、塗装だけで対応できることがあります。まずは塗装で補修できるのかについて、業者に確認してもらいましょう。
瓦には、そこまで多くのカラーバリエーションがあるわけではありません。そのため、希望通りのデザインの瓦が見つからず、見た目に妥協している人も多いかもしれません。もしも瓦の見た目が気になる場合は、塗装をすることで瓦の色をお好みの色に変えることが可能です。
塗装時の色を工夫すれば、瓦を使用していても洋風なデザインの住宅に仕上げることができます。美観性が向上して好きな見た目にできることは、瓦を塗装する大きなメリットでしょう。
最近はホームセンターなどでも高品質な塗料が手に入るようになってきたので、DIYで瓦の塗装を行いたいと考える人もいるかもしれません。そもそも、瓦の塗装はDIYで行うことが可能なのでしょうか。
結論から言うと、瓦塗装のDIYはおすすめできません。その理由としては、以下の3つが挙げられます。
一般の人が瓦の屋根にのぼって塗装をすると、屋根を破損させる恐れや怪我の危険が生じてしまいます。万が一破損や事故が起きた場合は、塗装業者を呼んだとき以上の費用がかかってしまうことになるでしょう。
塗装の知識がない人は、初めから業者へ依頼しておいたほうが安心です。
あまり塗装をするイメージのない瓦ですが、実は種類によっては塗装が必要となることがあります。また、塗装をすることで瓦のメンテナンスができたり美観性を高めたりすることができるため、瓦屋根であっても必要に応じて塗装を行っていきましょう。
衝撃に弱く割れやすい瓦の塗装は、一般の人には難しいです。最悪の場合、ケガをしてしまう危険性もあるため、塗装の際は必ずプロに依頼しましょう。