住宅を建てるとき、「タイルはメンテナンスの手間がかからない」と言われて外壁材にタイルを選んだ人も多いのではないでしょうか。タイルは石や砂と同様に無機物でできているため、紫外線や雨風の影響で劣化することはありません。そのためタイルの耐用年数は非常に長く、メンテナンスの頻度を抑えて使い続けることが可能です。
ただし、本当にずっとメンテナンスが不要かと言われると、そうではないため注意が必要です。今回は、タイルの外壁に必要なメンテナンスの頻度やかかる費用について解説します。
先述したように、タイル自体は耐久性が高いためほとんどお手入れの手間はかかりません。タイルはガラスなどと同じ無機物でできており、水を吸収しにくく汚れも弾きます。非常に硬く丈夫なため、よほどのことがなければ割れることもありません。
しかし、タイルを壁に貼り付けている接着剤や目地は劣化するので、定期的にメンテナンスをする必要があります。ここでは、タイルの外壁をメンテナンスすべき理由とそのタイミングについて見ていきましょう。
現在、外壁にタイルを接着するときは、サイディングに接着剤でタイルを貼る「乾式工法」が採用されています。一方で従来は、モルタルを下地にしてそこにタイルを貼る「湿式工法」が主流でした。
モルタルうや接着剤は次第に硬化していき、紫外線や外気温の変化などによって劣化していくことがあります。そのとき、タイルの継ぎ目が割れたり、建物の内部に雨水が侵入したりしてしまうことがあるため注意が必要です。
タイル自体は問題なくても下地の劣化は防げないため、大体7~10年に1回メンテナンスする必要があると言われています。
コーキングとは、タイル同士の隙間に充填される樹脂性の物質です。地震などの衝撃を吸収するために使われるものですが、経年劣化で縮んだり割れてしまったりすることがあるので、定期的なメンテナンスが必要です。
コーキングの寿命は5~10年と言われているため、縮みやひび割れなどといった症状が現れたら、早めにメンテナンスしましょう。
一口にタイルのメンテナンスと言っても、症状によって必要なお手入れはまったく異なります。ここでは、タイルのメンテナンス方法と費用について解説します。
タイルや目地に異変がなくても、美観性を保つために汚れを落とすメンテナンスをすることがあります。大体10年も経つと汚れが目立つようになってくるので、高圧洗浄で洗って汚れを落としてあげましょう。
低い位置であれば自分で行うことも可能ですが、2階部分や屋根近くの高圧洗浄は、DIYでは難しいです。プロに依頼したほうが、安全かつ確実に汚れを落とせるでしょう。
高圧洗浄の費用相場は、200~300円/1㎡です。30坪の家の場合、2~3万程度の費用がかかります。
コーキングが劣化したときは、新しくコーキングを充填する「打ち替え」、もしくは今あるコーキングに重ねて充填する「打ち増し」を行ってメンテナンスします。
それぞれの費用相場は以下のとおりです。
打ち替え:900~1,200円/㎡(30坪あたり9万円~12万円)
打ち増し:500~900円/㎡(30坪あたり5万円~9万円)
打ち増しのほうが費用は安いですが、防水性や耐久性を高めたいときは打ち替えのほうがおすすめです。打ち増しは打ち替えの半分程度しか耐久性がないため、注意しましょう。
タイルを接着しているモルタルや接着剤が劣化すると、タイルが浮いたり剥がれたりしてしまいます。軽微な浮きや剥がれは一般の人が見てもわからないため、目で見える異変がなくても、10年に1回はプロによる診断を受けておくことをおすすめします。
メンテナンスにかかる費用相場は以下のとおりです。
モルタルが劣化している場合:1,000~2,000円/㎡
接着剤が劣化している場合:500~700円/1か所
なお、接着剤が劣化してタイルが浮いたり剥がれたりしている場合、DIYでも対応可能です。
タイルは非常に耐候性の高い物質ですが、地震などの衝撃で割れてしまうことがあります。放っておくとモルタルや接着剤に水分が入って耐久性を下げる原因となるため、早めに交換するようにしてください。
メンテナンスにかかる費用相場は以下のとおりです。
タイルの軽微なひび割れ:500~1,000円/枚
モルタルまでひび割れているとき:モルタルの補修1,000~2,000円/㎡+タイル交換500~1,000円/枚
メンテナンスの手間がかからないと言われているタイルですが、下地となるモルタルや目地を埋めるコーキングは劣化してしまうため、大体7~10年に1回はメンテナンスすることが理想的です。
モルタルが割れたりタイルが剥がれたりしていることに気づかず放置していると、内部に水分が入ってしまい、外壁自体の寿命を縮めてしまう恐れもあります。異変がなくても定期的にプロに点検してもらい、より長く快適に暮らせる住宅をキープしましょう。