外壁塗装をするときは、汚れや雨などをはじく「撥水加工(撥水仕上げ)」を施すことが可能です。撥水には外壁の耐用年数を伸ばす効果がありますが、ほかにはどのような特徴を持っているのでしょうか。今回は、外壁塗装の撥水加工について解説します。
「撥水」と聞くと、何となく水をはじくことをイメージできる人は多いかもしれませんが、具体的な効果について知っている人は少ないでしょう。撥水加工はどのような効果があり、どのような材質に向いているのでしょうか。まずは、押さえておきたい基本知識を身につけていきましょう。
撥水加工(撥水仕上げ)とは、塗膜に規則的な凹凸を作って水分と接触面を狭くすることで、水がはじかれて集まる「疎水効果」を高める加工のことを指します。撥水加工にすることで水が外壁の接触面からはじかれ、球体となって表面から転がり落ちるようになるのです。その結果、水はけがよくなって壁に水分が染み込んだり汚れがこびりついたりしにくくなり、外壁の耐用年数を伸ばしてくれます。
疎水効果と聞くとわかりにくいですが、買ったばかりの傘の表面を丸い水滴がコロコロと転がり落ちる様子をイメージするとわかりやすいでしょう。撥水加工では、傘と同じ効果を壁に作り出していきます。
なお、透明な撥水剤を塗ることもあれば、水をはじくペンキを使って撥水効果を持たせることもあります。材質に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
撥水加工はどのような壁にもおすすめですが、とくに打ちっぱなしのコンクリートを保護したいときに最適です。コンクリートは塗膜などで保護されておらず、水の侵入によって内部や表面が劣化しやすいためです。
一般的な塗料だと見た目が損なわれてしまうコンクリートでも、透明な撥水剤であれば、質感を保ちながら表面や内部の鉄筋を水分から守れるようになります。
ここでは、撥水加工のメリットを2つ紹介します。
壁には多くの種類がありますが、コンクリートなど一部の材質には、内部に鉄筋や固定用のボルトなどを使用しているものがあります。こういった鉄を使用した壁の場合、雨が侵入することで錆が生じて膨張してしまい、内部から劣化が進んでしまう恐れがあるので注意が必要です。
撥水剤を塗っておけば内部に水分が侵入することを防げるため、鉄部を錆から守って外壁の耐用年数を上げることができます。
壁には泥や砂、花粉など多くの汚れが付着します。撥水加工にした壁はよく水をはじくようになるため、付着してしまった汚れが定着しにくく、軽く水をかけるだけできれいに落とせるようになります。
雨でもある程度の汚れを洗い流せるようになるため、見た目を維持しやすくなるというメリットがあるのです。
メリットが豊富な撥水加工には、デメリットもあります。メリットとデメリットの双方をよく比較してから、導入を検討していきましょう。
撥水は水をはじく性質があるため、内部からの水分や湿気も逃がしにくくなります。そのため、塗膜の内側に結露が生じやすくなり、腐食の原因となる危険性も考えられるのです。
寒暖差が激しい地域や冷暖房をよく使う場合は、撥水加工が向かないケースもあります。
勘違いされることも多いのですが、撥水塗料自体には防汚効果がありません。そのため、撥水加工にしても、汚れの分解や殺菌効果は得られない点に注意しましょう。
撥水加工は単に水をはじきやすくするだけなので、壁に汚れをつきにくくする効果はありません。防汚効果を高めたいのであれば、光で汚れを分解する「光触媒塗料」や「フッ素塗料」などを選ぶといいでしょう。
撥水剤には水をはじく性質がありますが、油をはじく性質は持っていません。したがって、油性の汚れがついてしまったときは、高圧洗浄機や洗剤などでしっかりメンテナンスしてあげる必要があります。また、内部の錆を防ぐことができても、表面についてしまったもらい錆などは落としにくいです。
もらい錆も油性汚れも、見た目を悪くするだけではなく塗膜を劣化させる一因となってしまいます。気がついたら早めにメンテナンスするようにしましょう。
撥水加工は、水をはじいて壁内部の鉄部を錆から守ったり汚れを落としやすくしたりする効果があります。とくに打ちっぱなしのコンクリートや意匠性(デザイン性)の高い材質は、塗料を塗ると質感や見た目が変わってしまうため、透明な撥水剤でコーティングして見た目をキープしつつ、雨から壁を守ることをおすすめします。
ただし、撥水加工にはデメリットもあるため注意が必要です。結露が生じやすい気候の地域に建っている住宅や塗膜に防汚効果をもたせたい場合は、ほかの塗料を検討してください。