外壁塗装を行なう際の塗料として「セラミック塗料」というものがあります。機能性や意匠性が高いとおすすめされることも多い塗料ですが、そもそもどのような特徴を持っているのか知らない人も少なくはないでしょう。
この記事では、セラミック塗料の特徴や種類、デメリットなどについて紹介します。塗料についての正しい知識を身につけ、自宅に合った塗装工事を行いましょう。
そもそも、セラミックとはどのようなものなのでしょうか。まずは、セラミック塗料の基本的な知識を見ていきましょう。
セラミック塗料は、砂や石、セラミックビーズなどといった微粒子を混ぜた塗料のことです。細かく砕いた陶磁器を塗料に混ぜ込んだものだと考えると、わかりやすいかもしれません。塗料の名前に「セラ」という語句が入っている場合は、セラミック塗料だと判断できます。
ただし、陶磁器だけではなく天然石や無機化合物が含まれている場合もあります。セラミック塗料に明確な定義はなく、少しでも無機物を含んだ塗料全般を指すケースが多いのです。
セラミック塗料には、大きな特徴が4つ存在しています。
先述したようにさまざまな種類の無機物が配合されているので、成分によって性能は全く異なります。セラミック塗料だからといって、必ずしも上記の性能がすべて発揮されるわけではないことを理解しておきましょう。
一口にセラミック塗料と言っても、塗料の種類によって持っている特徴は全く異なります。ここでは、代表的な種類を4つ見ていきましょう。
無機塗料とは、炭素を含まない成分を混ぜ込んだ塗料のことです。炭素を含まない成分としては、セラミック以外にもたとえば金属やガラスなどが挙げられます。いわゆる「無機塗料」や「無機ハイブリッド塗料」と呼ばれている場合は、この塗料のことを指すと考えておきましょう。
無機塗料は耐久性が高くてセルフクリーニング機能を持っています。また、変色しにくくて不燃性に優れているというメリットもありますが、性能が高いぶん価格も高いため、施工時は注意が必要です。
セラミックの種類によっては、高い断熱・遮熱効果を発揮してくれる塗料もあります。
内部が空洞になっているセラミックの微粒子を塗料に混ぜることで、塗料の中で真空状態が形成され、室内の暖かい空気を外に逃がしにくくする効果が得られます。また、外壁表面のセラミックが太陽の光を反射してくれる塗料であれば、紫外線を吸収しにくくする効果も高いでしょう。
住宅の断熱性や遮熱性を高めたい場合は、検討してみるといいかもしれません。
セラミック塗料の中には、意匠性の高い塗料が多く存在しています。砂や天然石などが含まれた塗料であれば、通常の塗料にはない立体感や色合い、深みを演出してくれるでしょう。
石材調のおしゃれな外壁が好みの場合は、セラミック塗料で塗り替えることで大幅なイメージチェンジができます。ほかの住宅と差をつけたい人には、非常におすすめです。
セラミックは親水性が高いため、塗料に混ぜることで外壁表面に付着した雨水が汚れの下に入り込みやすくなるという性質を持っています。そのため、セラミック塗料を使用した外壁は汚れが落ちやすい傾向にあり、セルフクリーニング効果が高くなるのです。
もちろん、まったく汚れがつかないというわけではありません。しかし、なるべく外壁をメンテナンスする頻度を減らしたい場合は、検討してみるといいでしょう。
セラミック塗料には多くのメリットがありますが、反対にデメリットもあるため注意が必要です。メリットとデメリットの双方を理解のうえ、本当に利用すべきか慎重に検討しましょう。
セラミック塗料と言っても、実際はセラミックの成分が100%というわけではありません。あくまでセラミックの成分を混ぜた塗料であり、ベースとなる塗料は「アクリル樹脂塗料」「ウレタン樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」「ラジカル塗料」「フッ素樹脂塗料」のいずれかになります。
セラミックのみで構成されている塗料は存在しておらず、基本的な塗料の機能や耐久性はベースとなる塗料のグレードに左右されます。セラミック塗料であればどれでも耐用年数が長いわけではないため、勘違いしないようにしましょう。
セラミック塗料は、価格が高くなりやすいというデメリットがあります。求める付加効果によって価格は異なりますが、同じ塗料グレードの製品と比べると、1.1~1.5倍ほど高くなることを理解しておきましょう。
なかには、「機能性が高いから」と言って相場以上に高い金額を要求されるケースもあります。悪徳業者がよく使う手口なので、十分に注意しましょう。
セラミックの形状によっては、外壁表面に凹凸ができて汚れが溜まりやすくなることがあります。セラミック塗料には防汚機能がありますが、塗料によっては汚れが目立ちやすくなる可能性があることは押さえておきましょう。
また、施工者の技術力によって色ムラになりやすいというデメリットもあります。施工を依頼するときは、必ず経験が豊富で信頼できる業者を選ぶようにしてください。
セラミック塗料とは、塗料の中に陶磁器や砂、石などを混ぜた塗料のことです。混ぜる成分によって得られる効果は異なりますが、外壁の断熱性や遮熱性を高めたり防汚機能を持たせたりすることが可能です。
セラミック塗料は、決して万能の塗料ではありません。悪徳業者が高額な施工費を請求するために悪用するケースも多いので、塗料や業者を選ぶときは慎重に判断してくださいね。