「珪藻土(けいそうど)」という言葉を聞いたことはありますか? バスマットやコースターとして活用されることが多い珪藻土は、外壁材に詳しくない方にもなじみ深い材質かもしれません。
日常生活のさまざまなシーンで活用されている珪藻土は、実は外壁に使用されることもあります。この記事では、外壁材としての珪藻土について、そのメリットやデメリット、特徴について解説します。
珪藻土という名前を聞いたことがあったり実際に使用したりしたことがあっても、どのような材質なのか詳しく知らない人は多いかもしれません。まずは、珪藻土の特徴について見てみましょう。
珪藻土とは、植物プランクトンの死骸が化石となり、水中で堆積してできた物質です。自然素材の一種で、表面に小さな穴が無数に空いている点が特徴です。バスマットとして活用されることからもわかるように、優れた調湿性や消臭性を持っています。
意外かもしれませんが、珪藻土は昔から建築物にも使用されており、今も建物の仕上げ材などとして使われています。珪藻土でできた耐火レンガなどもあり、建築や外壁の世界では度々活用されている素材です。
珪藻土には、明確な耐用年数がありません。商品によって性能は大きく異なるため、施工を希望する際は、業者に商品の特徴や耐用年数を確認しておきましょう。
珪藻土が剥がれたり調湿機能が低下したりした場合、塗替えをすることでメンテナンスが可能です。珪藻土のバスマットは2年ほどで寿命がきてしまいますが、外壁の場合は比べものにならないくらい長持ちするので、その点は安心してください。
施工費用の相場は、一般的な30坪の住宅で80~150万円程度です。材料や職人のレベルによって異なりますが、5,000~8,000円/㎡程度を想定しておきましょう。
それでは、外壁に珪藻土を利用するとどのような効果があるのでしょうか。詳しいメリットについて見てみましょう。
珪藻土の最大の魅力は、調湿機能の高さ。無数に空いた穴が湿度を吸収したり排出したりして、1年中快適な住空間を作り上げてくれます。外壁が結露しにくくなるため、カビやコケの発生を防げるのはうれしいポイントでしょう。
珪藻土の穴には、ニオイや二酸化炭素、音などを吸収する作用もあります。子どもやペットがいるご家庭でもニオイや騒音が気になりにくく、のびのびと過ごせるでしょう。交通量が多い地域の住宅も、珪藻土の外壁であればストレスを軽減できます。
珪藻土は燃えにくい材質なので、非常に耐火性が高い点がメリットです。耐火レンガや七輪などに使われるくらい高温に強く、温度が1,200℃程度まで上がっても溶けることはありません。
昔は蔵に珪藻土を使い、収納している貴重品が火事で燃えることを防いでいました。万が一火が上がってしまっても有害ガスが発生せず、環境汚染のリスクが少ないという特徴もあります。
珪藻土は削れたり傷がついたりしやすいですが、その反面メンテナンスしやすいというメリットがあります。ひび割れや傷があっても上から珪藻土を重ね塗りすれば修復できるため、塗料の再塗装などの手間がかかりにくい点がうれしいポイントです。
メリットが多い珪藻土ですが、反対にデメリットもあるため注意しましょう。ここでは、珪藻土の気をつけたいデメリットを紹介します。
珪藻土は衝撃が苦手な素材なので、物をぶつけたり表面を削ったりするとポロポロと剥がれて傷ができてしまいます。そのため、ペットや子どもが引っ掻いてしまわないように注意することが大切です。劣化すると、剥がれた珪藻土が衣類などに付着しやすくなる点にも注意しましょう。
また、珪藻土の高い吸水性が裏目に出て、水以外の水分を含むとシミになってしまうことがあります。水溶性の汚れは水を使えば落とせますが、漂白剤を使わないと落とせないシミができることもあるため注意しましょう。
珪藻土は、外壁材として使用しやすい状態にするために接着剤などを混ぜます。商品によってはこの接着剤に化学物質を含んでいるものがあり、吸湿性や耐火性に影響を与えてしまうことがあるため注意しましょう。使用する材料を選ぶときは、含まれている素材についてしっかりと調べることを推奨します。
珪藻土を使用した外壁の場合、塗装でメンテナンスをすると穴が塞がれてしまい、調湿機能や脱臭機能などが失われます。そのため、メンテナンスの際は珪藻土で塗り直す、もしくは塗装を行って調湿機能を諦める必要があるのです。
塗替えを選ぶ場合、珪藻土の穴が吸い込むことによって必要な塗料が増えてしまう点に注意が必要です。余計に費用がかかってしまうので、普通の外壁よりも割高になりやすいことを理解しておきましょう。
私たちの身近なところで活用されている珪藻土は、外壁材としても活躍してくれる材料です。調湿機能や消臭効果、消音効果が高い外壁を検討している人は、ぜひ検討してみてください。
ただし、下地によっては珪藻土が使用できなかったり、商品によっては珪藻土のよさが活かしきれなかったりするリスクがあります。信頼できる業者とよく相談して、後悔のない施工を行いましょう。