狭小地とは、一般的に15~20坪以下の土地のことを指します。狭小地に建つ「狭小住宅」は、コストを抑えられたり立地のいい物件が多かったりとメリットが豊富ですが、外壁塗装をしにくくなるというデメリットに注意が必要です。
そもそも、狭小地に建った住宅は外壁塗装できるものなのでしょうか。この記事では、狭小住宅を塗装する際の方法や注意点について解説します。
現在狭小住宅に住んでいる、または購入を検討している人のなかには、「外壁の塗り替えメンテナンスができないのではないか」と不安を抱いている人もいることでしょう。
結論から言いますと、土地が狭くても外壁塗装の工事は問題なく行えます。外壁塗装の際は足場を組む必要がありますが、最低50~70cm程度の隙間があれば足場を組んで住宅の上部まで施工することが可能なためです。
ただし、建物と土地の境界線までの距離、または建物と建物の隙間が50cm未満の場合は、通常の外壁塗装業者では対応が難しくなります。この場合は、より専門性が高い業者への相談が必要となります。
それでは、狭小地ではどのように外壁塗装を行うのでしょうか。ここでは、狭小住宅の塗装で一般的に採用される施工方法について3つ紹介します。
単管足場とは、鋼管で作られた単管パイプとクランプと呼ばれる金具を接続し、ボルトで固定して組み立てる足場のことです。単管を縦横一直線に繋いで組み上げるので、自由に設計できて場所を取らないというメリットがあります。
単管足場を採用する場合、50cm程度の隙間があれば外壁塗装を行うことが可能です。
ロープアクセス工法とは、全身ハーネスと2本の産業ロープを使って、作業員が吊り下がりながら高所作業を行う工法です。足場が不要で、安くて早い施工が可能な点が特徴的です。作業中の見た目に反して安全性がとても高いため、そこも非常に魅力的な工法だと言えるでしょう。
最低40cm程度の隙間があれば施工可能なので、足場が組めない土地でも外壁塗装を行えます。小回りがきいてピンポイントの作業にも対応できる、部分補修したいときにも非常におすすめの工法です。
必要な作業スペースが確保できない場合は、隣の住人に協力してもらうことも一つの手です。民法第209条には、「あらかじめ承諾を得ていれば、建物の修繕などの際に必要な範囲内で隣地を使用できる」と定められています。
狭い土地に住む者同士であれば、外壁塗装が必要になったとき、お互いに敷地を貸し合う“持ちつ持たれつ”の関係になれる可能性が高いです。いざというときに隣人から気持ちよく協力が得られるよう、日頃から良好な関係性を築いておきましょう。
狭小地に建つ住宅であっても、足場や工法を工夫することで外壁塗装を行うことは可能です。しかし、一般的な住宅を塗装する感覚で施工してしまうと、後々トラブルにつながってしまうおそれがあるため注意が必要です。
最後に、狭小地の外壁塗装で気をつけたいポイントについて紹介します。
狭小地は隣家との距離が非常に近いため、隣人に十分配慮しながら塗装を行わなければいけません。塗料やゴミの飛散、工具の落下、騒音、ニオイなどに気をつけないと、今後のご近所づきあいに悪い影響を及ぼしてしまう可能性があります。
敷地を借りる場合はもちろんのこと、そうでない場合も隣人への配慮は不可欠です。施工前の挨拶や工程の共有など、トラブルを防ぐための対策は万全にしておきましょう。
一般的な塗料を使用する場合、大体10年に1回程度の頻度で外壁塗装の工事をする必要があります。定期的なメンテナンスは住宅を守るために不可欠なことですが、狭小地の住宅を頻繁に塗り替えるのは大変なことですよね。そのため、塗り替え頻度をできるだけ減らす工夫をすることが非常に大切なのです。
塗り替えの頻度を減らすためにも、塗装の際は耐用年数が長い塗料を使用しましょう。フッ素塗料や無機塗料は価格が高めですが、耐用年数が15年以上なので、外壁塗装工事の頻度を大幅に減らすことが可能です。
耐用年数が長い塗料は価格が高くついてしまいますが、工事の頻度が減れば、結果的に労力だけではなく費用の低減にもつながるでしょう。
隣家との隙間がわずかしかない狭小地であっても、工法を工夫すれば外壁塗装を行うことは可能です。また、スペースがなくても隣人に協力してもらうことで施工が可能になることもあります。狭いからと諦めず、まずはどのような方法で施工すべきかについて、信頼できる業者に相談してみてください。
狭小地の外壁塗装工事を行う際は、高度な技術が必要になります。外壁塗装業者によってはうまく対応できない場合もありますので、狭小地の施工実績が豊富な業者に依頼することが大切です。