外壁塗装の際にもっとも悩むのが、どの色を塗るのかという問題。色は住宅のイメージを左右する大切な要素ですが、実は色以外にも決めなくてはいけないことが存在します。それが、ツヤの有無についてです。
塗料にはツヤありとツヤ消しの2種類があり、ツヤ消しの中でもとくにツヤを少なくした塗装を「フラット仕上げ」といいます。今回は、フラット仕上げについて解説していきます。
外壁に塗る塗料には、ツヤありとツヤ消しの2種類が存在しています。一般的には、「60度の角度から100の光があてられたとき、70%以上の光を反射するものはツヤあり塗料」と定められています。
反射した光の強さを「反射率(グロス値・光沢度)」と表現し、反射率70%以下になると少しずつマットな質感に近づいていくところが特徴です。
反射率70以下の塗料の中でも、とくに反射率が低く5%以下のものを「ツヤ消し・ツヤなし・フラット仕上げ・マット仕上げ」と呼びます。ポリエステルやアクリルなどの微粒子を混ぜることで塗膜に凹凸を作り出し、光を分散させることで反射率を下げている塗料です。
ほかにも3分ツヤや半ツヤなど、反射率を調整した塗料が販売されています。ちなみに、はじめにツヤありの塗料を塗って反射率が下がってきたとしても、フラット仕上げやツヤ消しと呼ぶことはありません。
それでは、外壁塗装をフラット仕上げにすることでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれについて見ていきましょう。
フラット仕上げは和風の家の塗装と非常に相性がよく、ツヤありのように時間とともにツヤが消えて風合いが変わることはありません。シックで高級感のある仕上がりになるので、そういった雰囲気がお好きな方にはぴったりでしょう。
ただし流通量が少なくて種類も少ないため、色の選択肢は少なめです。ツヤありを調整してツヤ消しにすることもできますが、その場合は費用が高くなるため注意が必要です。また添加物を混ぜて凹凸を作っている分、塗膜の性能は下がっていきます。耐候性が低く汚れやすくなってしまう特徴がある点についても理解しておく必要があります。
ここからは、フラット仕上げをするときの注意点について解説していきます。
フラット仕上げにするときは、必ず室内だけではなくて太陽光の下でも色見本を見るようにしてください。室内と屋外では光の当たり方はまったく異なり、仕上がりのイメージも大きく異なってきます。
実際に外壁と似たような模様の素材に試し塗りをして、屋外で仕上がりを確認することをおすすめします。「もう少しツヤがあってもいいかも」「光を反射しないから思ったより暗く仕上がってしまいそう」と、新しい気付きが出てご希望が変わるケースも少なくはありません。
ツヤを調整した塗料は取り扱いが難しく、職人の技術によって仕上がりが左右されやすい点に注意しましょう。「ムラが起きて、場所によって光沢感が異なる仕上がりになった」なんてトラブルに発展する可能性もゼロではありません。
こういっトラブルを防ぐためにも、あらかじめ営業担当者などに「ツヤ消し施工ではムラが起きやすいと聞いたのですが、大丈夫でしょうか」と聞いておくことをおすすめします。「どのような施工でムラを防ぐのか」「メーカーに推奨された施工手順を遵守する」といった対策を伝えてくれる業者であれば、安心して任せて大丈夫でしょう。
ラット仕上げは光をほとんど反射しないため、ダークグレーや濃いめのブラウンなど暗めの色を選ぶと重たいイメージになってしまいます。重厚感があってシックなイメージになりますが、暗すぎる仕上がりにならないように気をつけてください。
これは好みの問題になりますが、ツヤ消しは少し明るめの色、ツヤありは少し暗めの色を選ぶと失敗しにくい傾向にあります。
塗料にはツヤありのものとツヤなしのものがあり、色だけではなくツヤも大きく家のイメージを変える要因となります。まずはサンプルや異色見本をしっかりと確認し、家のイメージに沿う塗料を選ぶことが何よりも大切です。
フラット仕上げはシックで重厚感のある仕上げにできますが、汚れやすく色の選択肢が少ないというデメリットもあります。職人の技術によって仕上がりが変わってきますので、業者とよく話し合って本当にツヤのない仕上がりにするべきなのかをよく検討してくださいね。