住宅をメンテナンスする際、クリヤー塗装を選択肢のひとつとして検討する人もいるでしょう。クリヤー塗装とは文字通り透明な塗料のことで、外壁材そのもののデザインや風合いを活かせる点が大きな利点です。
本記事では、クリヤー塗装の費用相場や特徴について解説します。しっかりと知識を身につけ、自宅に最適な施工を行いましょう。
まずは、クリヤー塗装の概要について詳しく見ていきましょう。
クリヤー塗装とは、無色透明な塗料のことです。下地が透けて見えるため、外壁材がもともと持っている質感や風合いを活かしつつ、住宅をしっかりと守ることができます。タイル調やレンガ調、石目調など、意匠性の高いサイディング外壁に最適です。
利便性が高い塗料ですが、材質や劣化状態によっては使えないケースもあります。自己判断でDIYすることは危険なので、プロに確認してもらって判断を仰ぐようにしましょう。
一口にクリヤー塗装と言っても、実は4つの種類に分類することが可能で、それぞれでは耐用年数も費用の相場も異なります。以下に種類ごとの耐用年数と費用相場をまとめたので、塗料選びの際は参考にしてみてください。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場(1㎡あたり) |
アクリル系 | 5~8年 | 1,400~1,800円 |
ウレタン系 | 8~10年 | 1,600~2,000円 |
シリコン系 | 10~15年 | 2,200~2,500円 |
フッ素系 | 15~20年 | 2,700~3,000円 |
ほかにも、耐候性の高い無機塗料や、紫外線に当たっても劣化しにくいUVプロテクト機能を持った塗料もあります。
耐用年数が高くて多機能な塗料は、そのぶん価格が高くなります。予算と相談しながら、最適な塗料を選ぶようにしましょう。
次に、メリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリットは、以下の3つです。
意匠性を保てる
無色透明なので、外壁そのものが持つ意匠性を保ちながら住宅を守ることができます。外壁材に光沢が生まれて美観性が向上しますし、藻やカビ、紫外線などから住宅を守れます。
塗装回数が少なくて済む
外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りといった3回の重ね塗りが基本ですが、クリヤー塗装は下塗り材が不要です。2回塗れば完成するので、使う塗料の量も手間も減らせて費用を安価に抑えられます。
チョーキングが発生しない
塗料が劣化すると、顔料がチョークの粉のように外壁表面に浮き出てきます。顔料料入りの塗料を使うとこのチョーキングが発生しますが、クリヤー塗装には顔料が含まれていないため、チョーキングが発生することはありません。
デメリットは、以下の2つです。
塗装できる外壁が限られる
後述しますが、クリヤー塗装は外壁材の種類や状態によっては使えないケースがあります。塗装できる外壁が限られるため、希望していても使えない可能性があることを理解しておきましょう。
コーキング部分には塗装できない
サイディングボードなどを住宅に取り付けるときは、目地にコーキング材(シーリング材)を補充します。このコーキングは雨風から住宅を守るためには欠かせないものですが、この部分にクリヤー塗装をしてしまうと塗膜の剥がれや割れが起きてしまうおそれがあります。そのため、コーキング部分に塗料が付着しないように気をつけながら施工することが肝心です。
クリヤー塗装は、外壁の質感を維持できる便利な塗料ですが、外壁の材質や状態によっては使うことができないこともあるため注意が必要です。ここでは、クリヤー塗装が適している外壁と避けたほうがいい外壁について紹介します。
クリヤー塗装が適しているのは、以下のような外壁です。
上記のように、見た目がよくて質感を維持したい外壁材の塗装にクリヤー塗装は適しています。ただしどの外壁材も、状態がよくて劣化が少なくないとクリヤー塗装はできません。
クリヤー塗装を避けたほうがいいのは、以下のような外壁です。
コーティングしている外壁や金属系サイディングは、表面がツルツルとしていて塗装が密着しにくいです。耐用年数が縮まってしまうため、クリヤー塗装は避けましょう。
また、現状の見た目のまま塗装が仕上がってしまうため、劣化した外壁の状態が透けて見えてしまいます。補修してから塗装を行ったとしても補修跡がそのまま見えてしまうので、見た目が悪くなってしまう点に注意が必要です。
現在の意匠性や風合いをそのまま維持しつつ住宅を守れるクリヤー塗装は、意匠性の高い外壁を使っている住宅に最適な塗装です。住宅の色や柄を維持しつつ外壁塗装を行いたい場合は、ぜひ検討してみてください。
ただし、クリヤー塗装には適している外壁と避けたほうがいい外壁があります。知識のない人が自己判断してDIYをすることは、住宅の耐用年数を縮めてしまうリスクがありますので、必ずプロに相談しながら最適な塗料を選ぶようにしましょう。