ペンのインクや絵の具に水性と油性があるように、実は外壁塗装の塗料にも「水性」と「油性」の2種類が存在します。
そこで、今回はそれぞれの塗料のちがいについて解説していきます。「両者の特徴がわからない」「どちらを選んだらいいか迷っている」とお悩みの方は、ぜひ最後まで目を通していってくださいね。
塗料には水性と油性の2種類のものが存在します。異なる点はその主成分で、水性塗料は「水」、油性塗料は「シンナー」が主な成分です。
少し前までは、油性塗料の方が機能性が高い傾向にありました。ところが、近年は水性塗料の開発が活発にされており、機能性・耐久性ともに向上してきています。
水性のイメージとして、「雨が降ると水に溶けて流れていってしまうのでは?」と不安に感じる方も多いかと思います。
実際、水性塗料は乾燥するまでは水に弱い特性があります。しかし、しっかりと乾いて塗膜が形成されれば、雨で濡れても流れて落ちてしまう心配はありません。
今は乾燥中に多少濡れても仕上がりに影響の無い商品も出ているため、今後さらに水性塗料の機能性がアップしていくことが予想されます。水性でもしっかりと外壁や屋根の塗装に使えるので、安心してくださいね。
「主な成分が水かシンナーのちがい」と聞いても、その特徴やメリット・デメリットについてわかりづらいですよね。
ここからは、水性塗料と油性塗料のちがいを4つの観点から比較していきます。
油性塗料の方が機能性が高い分、価格が高めに設定されています。したがって、塗装工事の費用を安く済ませたい方には水性塗料が向いています。
ただし、水性塗料も機能性がアップしてきており、メーカーによっては水性塗料と油性塗料の価格に大きな相違がないケースも増えてきました。どちらの塗料にするか検討するときは、価格帯以外のポイントでも比較する必要があるのです。
水性塗料の機能性・耐久性が向上して生きているとお伝えしましたが、やはり油性塗料の方が機能性が高いことは否定できません。
油性塗料は耐久性に優れているだけではなく、塗料の密着がよかったり防汚性に優れていたりと、美観の面でも利点が多い塗料だと言えます。素材を選ばずに塗装が可能でつやを維持しやすいため、美しい外壁・屋根をキープしたいときには油性塗料が向いています。
他方で、水性塗料はサイディングやモルタルなどの素材と相性がいいですが、ステンレスやアルミなどの金属部分とは相性が悪いです。塗装する素材を選ぶ塗料なので、使いたいときは担当者とよく相談しておくようにしましょう。
水性塗料と油性塗料の最も大きな相違点とも言えるのが、においの強さと安全性です。
油性塗料に使用しているシンナーなどの有機溶剤と呼ばれる物質は、人体や環境にとって非常に危険な有害物質「VOC(揮発性有機化合物)」を発します。シンナーのにおいは強烈で嗅ぎ続けるだけでも不快ですが、嗅ぐことで人体に健康被害を及ぼしてしまう可能性もあるのです。
近年は、人や環境に影響の少ない「弱溶剤塗料」が増えてきました。しかし、水が主成分の水性塗料と比べると、安全性で劣ることは事実です。
とはいえ、水性塗料にも成分を安定させるために若干のVOCが配合されています。全く無害というわけではないため、水性塗料も取り扱い方法や塗装中の換気には気を配る必要があります。/p>
水性塗料と油性塗料では、乾燥のしやすさも異なります。
水性塗料に含まれる水分の乾燥は、気温や湿度に大きく左右されます。したがって、気温が低い時期や湿度が高い時期は、施工期間が長くなってしまう可能性がある点に注意しましょう。塗装依頼する際は、気温が高くて晴れている期間を指定することをおすすめします。
他方で、油性塗料は気温や湿度に影響を受けにくいため、冬場や梅雨の時期でも塗装を依頼可能です。素早く施工を終わらせたいときは、油性塗料の方が向いていると言えます。
それぞれの塗料のちがいについて解説してきました。
「ちがいは分かったけれど、結局どっちを選んだらいいかわからない」という方に向けて、それぞれが向いているケースをご紹介していきます。
「自宅にペットや赤ちゃんがいる」「近所に迷惑をかけたくない」という方には、水性塗料がおすすめ。また、シンナーには引火性があるため、万が一の火事を避けたいという場合も水性塗料を選んでおくと安心でしょう。
機能性や耐久性が気になる方は、依頼する担当者とよく相談をして適切な塗料選びをすることで、リスクを最小限にとどめることができます。
つやを維持したい、なるべく長い間きれいな外壁や屋根をキープしたいという方には、油性塗料がおすすめ。水性塗料と油性塗料でメーカーが表示している耐用年数が同じ場合でも、つやや汚れにくさは油性塗料の方が秀でています。
とくに、使用時に硬化剤を混ぜて使う「2液剤」と呼ばれる油性塗料は、密着力が高く耐久性が非常にいいと言われています。より機能性を重視する方は、「2液剤」の使用を検討してみてくださいね。
水性塗料と油性塗料はそれぞれにメリットデメリットがあります。安全性重視なら水性塗料、機能性重視なら油性塗料がおすすめですが、適している塗料は塗る箇所や外壁、デザインなどによっても違ってきます。
どちらを選べばがいいか迷った場合は、塗装の担当者とよく相談してください。正しい塗料選びで、後悔のない施工にしましょう。