ベランダや屋上の防水工事をするときは「シート防水」や「ERP防水」、「ウレタン防水」といった3種類の手法が用いられます。なかでもウレタン防水は安価に施工できて素材も選ばないため、メンテナンス時に選ばれることが多いです。
今回は、ウレタン防水について詳しく解説します。ベランダや屋上のメンテナンスを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
ウレタン防水とは、ベランダやバルコニー、屋上などに行われる防水工事の一種です。防水層を触ってみて、やわらかくて爪などのひっかき跡が残る場合はウレタン防水が施工されているということになります。
ウレタン防水の際は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を作ることで、素材の劣化や雨水の侵入を防ぎます。まずは、ウレタン防水についてもう少し詳しく見ていきましょう。
ウレタンは弾力性があり摩耗性に優れている素材で、車のタイヤにも使用されている素材です。ウレタン防水は、一般的に「防水層」と「トップコート」の2つの層で構成されます。
ウレタン樹脂を液体状にして、ベランダに塗って防水層を形成します。塗料を流し込むため、継ぎ目のないシームレスな仕上がりになります。
形成した防水層を紫外線から守るために、トップコートを塗布します。なおトップコートには、「ポリエステル系」と「ウレタン系」の2種類があります。
トップコートは5年程度で劣化すると言われているため、定期的にメンテナンスすることが大切です。なお、どの防水工事でもトップコートの塗り替えは必要になるため、ウレタン防水が特別メンテナンスの手間がかかる種類というわけではありません。
ウレタン防水の寿命は、10~14年程度だと言われています。紫外線の強さや気温によって多少前後しますが、10年を過ぎたらこまめに状態を確認して、劣化に気づけるようにしておきましょう。施工単価は1㎡あたり4,000~7,000円程度です。
ベランダの防水工事にはほかの施工方法もありますが、ウレタン防水ならではの特徴としてはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、ウレタン防水のメリットとデメリットを簡単にまとめておきます。
このようにウレタン防水にはメリットもありますが、反対にデメリットもあります。メリットとデメリットをよく比較のうえ、施工するかどうかを判断しましょう。
ウレタン防水は定期的なリフォームが必要ですが、施工のタイミングについて判断しにくいと感じている人もいるかもしれません。
以下のような症状が出たときはメンテナンスが必要なサインとなります。定期的に防水層をチェックし、早く劣化に気づけるようにしましょう。
ちなみにウレタン防水はDIYすることも可能ですが、市販の材料と業者用の材料では品質が異なるため、自分で施工することはおすすめしません。塗膜が凸凹になったり劣化が早まったりする恐れもあるので、専門の業者に依頼したほうが安心です。
一口にウレタン防水と言っても、実は工法の違いによって2つの種類に分類できます。ここでは、それぞれの工法の違いついて紹介します。
「絶縁工法」とも呼ばれる工法です。無数の穴が開いた通気緩衝シートを敷いたあとに、ウレタン防水材を塗布する点が特徴です。下地に防水層を密着させずに、脱気装置から湿気を逃せる仕組みになっています。
下地に塗膜が密着しないため、ひび割れや膨れなどのトラブルが起きにくいです。また、密着工法より長持ちするところも大きな特徴です。
ウレタン樹脂を下地に直接塗り、補強布を貼り付けたあとに防水材を重ねてトップコートで仕上げる工法です。新築物件や劣化の程度が深刻でないときに選ばれることが多いです。
軽量なため建物に負担をかけにくく、価格も安めに設定されているというメリットがあります。ただし下地に密着させるため、防水層のひび割れが生じやすいというデメリットに注意が必要です。
ウレタン防水とは、液体状にしたウレタン樹脂を流し込むことで防水効果を高める施工方法です。工事費用が安価で施工する下地の素材を選ばないため、施主にとっても業者にとってもメリットが多い工法です。
ウレタン防水を施したベランダや屋上は、定期的にメンテナンスをする必要があります。トップコートは5年に1回、防水層は10~15年に1回メンテナンスして、ベランダや屋上を長く快適に使っていきましょう。