窯業(ようぎょう)系サイディングは、日本でもっとも使われることが多いと言われている、一般的な外壁材です。私たちにとって身近な窯業系サイディングですが、住宅を設計するときやリフォームをするときになって、初めて名前を聞くという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、窯業系サイディングの特徴やメリット、費用について解説します。「ほかの外壁材と何が違うの?」「自分には向いているの?」と疑問を感じている人は、ぜひこの記事で正しい知識を身につけてみてください。
窯業系サイディングとは、セメントなどを原料にして作った「サイディングボード」の一種です。これだけ聞いても、一般の人だとどのような外壁材なのかイメージしにくいですよね。
まずは、窯業系サイディングの特徴について見ていきましょう。
サイディングボードとは、向上で板状に成型した外壁材全般を指します。窯業系サイディングは、セメントをメインに、砂や砂利の代わりになる混和剤、繊維質原料などを加えて作り上げたサイディングボードの一種です。窯で高熱処理されるため、「窯業系」という名前がついています。
混和剤は軽量化、繊維質原料は強度アップ効果があるため、軽くて丈夫なところが特徴的です。工場で成型されるので、いろいろなデザインの外壁が作れる点もうれしいポイントです。
ちなみにサイディングボードは、ほかにも金属系や木質系、樹脂系などの種類があります。それぞれに異なった特徴があるので、好みや求める機能に合わせて選ぶことが大切です。
窯業系サイディングの耐用年数は、約40年ほどだと言われています。サイディングボードのなかでは耐用年数が長めで、金属系サイディングと同じくらい長持ちします。
施工費用は、30坪の住宅で150~250万円程度です。施工業者や材料によっても異なりますが、施工単価については5,000~7,000円/㎡を目安に考えておきましょう。
日本の住宅に使われることが多い窯業系サイディングですが、なぜ多くの業者や施主に選ばれているのでしょうか。ここでは、窯業系サイディングのメリットについて解説します。
窯業系サイディングは費用が安いため、建築時や張り替え時の初期費用が抑えられるというメリットがあります。金属系、木質系、樹脂系と比べるともっとも費用が安いうえ、施工も工場で作られたボードを設置していくだけなので、人件費が抑えられるという強みもあります。
窯業系サイディングは工場で型を使って成型されるため、デザインが非常に豊富です。木目調やタイル調、レンガ調など幅広いデザインや色が用意されており、好みに合わせて理想通りの外壁に仕上げられます。塗装の際に透明な塗料を使用すれば、メンテナンス後もそのままの外観をキープ可能です。
窯業系サイディングは、防火外壁材と呼ばれるほど火事に強い材料です。国から不燃材料として認定されている商品も多いため、万が一周囲で火災が発生しても、延焼を防いで家財や財産を守ることができます。もちろん、絶対に燃えないというわけではありませんが、より自宅の安全性を高めたいときは非常におすすめです。
窯業系サイディングボードを使った工事では、あらかじめ工場で成型された素材を使うので、施工期間を短くできるというメリットがあります。また、職人によって外壁の品質に差が出にくい点も大きなメリット。短期間で高品質な外壁に仕上げられます。
窯業系サイディングボードにはメリットがたくさんありますが、デメリットがあることも事実です。ここでは、窯業系サイディングボードならではのデメリットや注意点を紹介します。
窯業系サイディングボードは、素材自体に防水機能がありません。そのため、塗装を行わないと外壁が劣化しやすく、雨漏りなどが発生してしまうおそれがあります。
窯業系サイディングボードの長い耐用年数をしっかりと活かすためには、外壁塗装を行って外壁材を保護する必要があります。10年に1回は塗替えて、5~10年に1回は目地を埋めるコーキング剤のメンテナンスをする必要があるので、維持費がかかりやすい点に注意しましょう。
窯業系サイディングボードの原料に使われているセメントは、熱がこもりやすい性質を持っています。そのため、室内が暑くなりやすい点にも注意が必要です。夏はエアコン代が高くなりやすいので、断熱効果や遮熱効果がある塗料の使用をおすすめします。
日本でよく使われる窯業系サイディングボードは、安く早く施工できて耐用年数も長い優秀な外壁材です。デザインも豊富なので、「外壁の見た目にこだわりたいけど、費用や耐用年数も妥協できない」という場合は、ぜひ活用してみてくださいね。
初期費用が抑えられる窯業系サイディングボードですが、ほかの外壁よりもメンテナンスの手間がかかりやすいという注意点があります。長持ちする塗料や断熱性がある塗料を使用するなど、少しでもデメリットを補えるように工夫しながら活用しましょう!